アルコール検知器の画面に「0.15」と出たとき、その社員を運転させてよいのか。判断に迷った経験のある管理者は、決して少なくないはずです。
呼気アルコール濃度はmg/Lという単位で表示されます。ただ、この数字が法律上どこから違反になり、どこから処分が跳ね上がるのかまで把握しておくことが大切です。
さらに2026年7月21日、酒酔い運転に「呼気1リットルにつき0.5mg以上」という数値基準が新設されました。「0.15mg/L以上が酒気帯び」という知識だけで運用していると、改正後の実態とずれた判断をしてしまいます。
この記事では、呼気アルコール濃度が示す意味と0.15・0.25・0.5mg/Lという3つの分岐点を整理したうえで、企業として測定結果をどこまで管理すべきかを解説します。

1. 呼気アルコール濃度とは?「mg/L」が示す数値の意味

呼気1リットル中に含まれるアルコール量

呼気アルコール濃度とは、吐き出した息1リットルの中にアルコールが何ミリグラム含まれているかを示した数値です。単位は「mg/L」(または mg/l)と表記されます。
アルコール検知器に表示されるのは、まさにこの数値です。道路交通法第65条は酒気を帯びた状態での運転を禁じていますが、酒気帯びに当たるかどうかの判定もこの呼気の数値で行われます。検知器の画面に出る数字は、そのまま違反の成否を分ける法的な指標だと考えてください。

血中アルコール濃度との関係

道路交通法施行令第44条の3では、呼気1リットルにつき0.15mg以上、または血液1ミリリットルにつき0.3mg以上を酒気帯びの基準としています。呼気と血中の濃度はおおむね1対2,000の関係にあり、呼気の数値から体内の状態をある程度イメージできます。
血液を採取しなくても測れるのは、肺胞で血液中のアルコールが呼気側へ移行するためです。検問でも職場でも呼気が使われるのは、身体を傷つけずにその場で結果が出るという実務上の理由が大きいといえます。

数値が「0.00mg/L」でなければ飲酒運転のリスクがある

0.15mg/L未満であれば、違反点数の対象にはなりません。ただしこれは「安全」を意味するものではありません。体内にアルコールが残っていれば、判断力も反応速度も確実に落ちています。
法律上の処分基準と、企業が運転を許可してよい基準は別物です。この点は記事の後半であらためて取り上げます。

TIPS
通信型ドライブレコーダー「Offseg」では、他社アルコール検知システムと連携し、ドライバーが測定した呼気アルコール濃度の結果を運転日報・月報に表示できます。
安全運転管理者は、運行記録と測定結果を同じ管理画面でまとめて確認できます。
▶ Offsegの機能|他社アルコール検知システムとの連携

2. 呼気アルコール濃度の基準値一覧|0.15・0.25・0.5mg/Lごとの違い


ここからは「何mg/Lからアウトなのか」に直接答えていきます。押さえるべき分岐点は3つです。

【表】呼気アルコール濃度の基準値と処分の一覧

呼気アルコール濃度 区分 違反点数 行政処分(前歴なし) 罰則
0.15mg/L未満 違反点数の対象外 ― ― ―(ただし運転能力は低下しており、社内では運転させない)
0.15mg/L以上0.25mg/L未満 酒気帯び運転 13点 免許停止90日 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
0.25mg/L以上 酒気帯び運転 25点 免許取消・欠格期間2年 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
0.5mg/L以上 酒酔い運転(2026年7月新設の数値基準) 35点 免許取消・欠格期間3年 5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金

0.15mg/L以上で「酒気帯び運転」が成立する

呼気1リットルあたり0.15mg以上のアルコールが検出されれば、その時点で酒気帯び運転が成立します。罰則は3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(道路交通法第117条の2の2)。
ここで重要なのは、本人の自覚が判断材料にならないという点です。「酔っていない」「普通に歩ける」と感じていても、数値が基準を超えていれば違反になります。

0.25mg/L以上は一発で免許取消

同じ酒気帯び運転でも、0.25mg/Lを境に行政処分の重さが大きく変わります。0.15以上0.25未満なら違反点数13点で免許停止90日。0.25以上になると25点となり、免許取消・欠格期間2年です(いずれも前歴なしの場合)。
わずか0.1mg/Lの差で、一定期間運転できなくなるのか、免許そのものを失うのかが分かれます。

【2026年7月新設】0.5mg/L以上は「酒酔い運転」

2026年7月21日施行の改正道路交通法により、酒酔い運転の要件に数値基準が加わりました。改正後の酒酔い運転は、「呼気1リットルにつき0.5mg以上」または「アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態」と規定されています。
従来は後者の定性的な要件しかなく、ふらつきや呂律といった外形的な様子から現場が判断するほかありませんでした。改正後は、0.5mg/L以上という数値が出た時点で、運転の様子を問わず酒酔い運転として扱われます。罰則は5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、違反点数35点で免許取消・欠格期間3年です(道路交通法第117条の2)。
あわせて自動車運転死傷処罰法でも、呼気1リットルにつき0.5mg以上(血液1ミリリットルにつき1.0mg以上)が危険運転致死傷罪の対象として明確化されました。この状態で人身事故を起こせば、過失運転致死傷罪ではなく危険運転致死傷罪が一律に適用されます。刑事責任の重さは大きく変わります。
誤解してはいけないのは、0.5mg/Lが「ここまでなら大丈夫」というラインではないことです。0.5mg/L未満でも、正常な運転ができないおそれがあると認定されれば、従来どおり酒酔い運転になります。
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3. どれくらい飲むとその数値になる?飲酒量と分解時間の目安


数値を自分ごととして捉えるために、飲酒量との対応をおおまかに押さえておきます。

0.15mg/Lはビール中瓶1本程度が目安

酒気帯びの基準となる0.15mg/Lは、ビール中瓶1本、日本酒1合、ウイスキーのダブル1杯あたりが目安とされています。「1杯だけ」という感覚が、そのまま違反ラインに届く量だということです。
ただし、あくまで目安です。体重や体質、その日の体調、飲むスピードによって数値は大きく変わります。同じ量を飲んでも0.1mg/L台で収まる人もいれば、0.3mg/Lを超える人もいます。目安を根拠に「これくらいなら平気」と判断するのは危険です。

純アルコール20gの分解には約4時間かかる

アルコール度数5%の500ml缶ビール1本に含まれる純アルコールは、およそ20gです。健康な成人がこれを分解するには約4時間が必要とされています。2本なら8時間、3本なら12時間と、単純な足し算で伸びていきます。
しかも睡眠中は分解の速度が落ちます。「しっかり寝たから抜けているはず」という感覚は、生理的には成り立ちません。
▶ 関連記事:飲酒運転

翌朝の残留アルコールに注意

企業で起きる飲酒運転は、出勤直前に飲んだケースよりも、前夜の深酒が翌朝まで残っていたケースのほうが目立ちます。本人に酔った自覚はなく、いつもどおり出社してきます。それでも検知器には数値が出ます。
自覚と数値がずれるからこそ、運転前の測定に意味があります。

4. 法律の基準は0.15mg/L、企業の基準は0.00mg/L

0.15mg/L未満なら運転させてもよい?

法律で罰せられるのは0.15mg/Lからですが、それより下回れば企業として運行の許可を出しても良いのでしょうか?
答えはNOです。0.15mg/Lは処分の基準であって、企業が運転を許可してよい基準ではありません。
「0.15未満だから業務に出してよい」という運用は、現場に誤ったメッセージを与えます。社内規程には0.00mg/L以外は運転させないと明記している会社も多く、「数値が出たらアウト」と明確にしておくことで、現場の混乱と飲酒運転のリスクを避けることができるでしょう。

5. 測定値が正しく出ないケースと、数値を読むときの注意点


「数値が出た=飲酒した」とも、「数値が出ない=安全」とも言い切れません。測定を運用する側は、この両方の誤りを知っておく必要があります。

飲酒していなくても数値が出ることがある(偽陽性)

直前に口にした飲食物や洗口液に含まれるアルコール成分が口内に残り、実際の血中濃度より高い数値が出ることがあります。
測定前にうがいをする、飲食や喫煙の直後は少し時間を置いてから測る。こうした基本手順に加えて、「数値が出たら時間を空けて再測定する」というルールを社内で決めておくと、その場での押し問答を避けられます。 

検知器のセンサー劣化で数値が正しく出なくなる

アルコール検知器のセンサーには、使用回数や使用期間の上限があります。劣化した検知器は測定精度が落ち、実際より低い数値を示すことがあります。数値が出ないから安全、という判断が成り立たなくなるわけです。
道路交通法施行規則第9条の10第7号は、安全運転管理者にアルコール検知器を常時有効に保持する義務を課しています。定期的な動作確認と、メーカーが定める周期での校正・買い替えは運用の前提条件と考えてください。
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6. 【企業向け】呼気アルコール濃度の「記録・保存」は義務


ここまでは数値そのものの話でした。ここからは、その数値をドライバー全員分まとめて管理する立場の話に移ります。

安全運転管理者に課される確認・記録・保存の義務

道路交通法施行規則第9条の10により、安全運転管理者には運転の前後に運転者の酒気帯びの有無を目視等で確認し、さらにアルコール検知器を用いて確認することが義務づけられています。確認した内容は記録し、1年間保存しなければなりません。
対象は、乗車定員11人以上の自動車を1台以上、またはその他の自動車を5台以上使用する事業所です。いわゆる白ナンバーの社用車しか持たない企業も含まれます。
▶ 関連記事:白ナンバーのアルコールチェック義務化

数値だけ残しても、事故時に会社を守れない

記録はしているものの紙の台帳とExcelと運行管理システムに情報が散らばっている状態では、誰がいつどの車両を運転し、そのとき測定値がいくつだったのかが結びつきません。業務中の事故で使用者責任を問われたとき、「確認していました」と主張するだけでは足りず、確認の事実を客観的に示せるかが問われます。運行記録と測定結果が紐づいているかどうかが、そこで効いてきます。
加えて、身代わり測定や未実施の常態化といった形骸化のリスクもあります。個人の良心に任せる運用には限界があり、仕組みで防ぐ発想が必要です。

運行記録と測定結果をひとつの画面で管理する

通信型ドライブレコーダー「Offseg」は、他社のアルコール検知システムと連携し、ドライバーが測定した結果を電子化された運転日報・月報に自動で表示できます。
安全運転管理者は、乗務員ごとの運行記録とアルコール検知結果を同じ管理画面で確認できるため、転記や突き合わせの手間がかかりません。
さらにOffsegは、AIがドライブレコーダー映像から人的な事故要因を検出し、運転傾向に応じた安全運転教育の資料としてまとめる機能も備えています。飲酒運転対策を出発前の点検だけで終わらせず、継続的な安全運転管理の一部として回していけます。
▶ 機能紹介 https://www.denso-ten.com/jp/offseg/product/

7. よくある質問(FAQ)

Q. 呼気アルコール濃度は何mg/Lから違反になる?

A. 呼気1リットルあたり0.15mg以上で酒気帯び運転が成立します。0.25mg/L以上は免許取消、0.5mg/L以上は酒酔い運転として扱われます。

Q. 0.5mg/Lという基準はいつから?

A. 2026年7月21日施行の改正道路交通法で、酒酔い運転の要件として新設された数値基準です。これ以上であれば、運転の様子にかかわらず酒酔い運転となります。

Q. 0.10mg/Lなら運転してよい?

A. 違反点数の対象外ではありますが、体内にアルコールが残っており運転能力は低下しています。企業としては0.00mg/L以外は運転させないルールが安全です。

Q. 飲んでいないのに数値が出たときは?

A. 直前の飲食物や洗口液で数値が出る場合があります。うがいをして時間を置き、再測定する手順を社内ルールとして決めておきましょう。

Q. 測定結果はどのくらい保存する必要がある?

A. 道路交通法施行規則により、確認内容を記録し1年間保存することが義務づけられています。

8. まとめ

2026年の秋の全国交通安全運動は9月21日から30日までの10日間で、全国重点には飲酒運転の根絶が掲げられています。法改正から間もないこの時期は、社内の運用基準を見直す機会としてちょうどよいタイミングです。
自社のアルコールチェックが「測って終わり」になっていないか。運行記録と測定結果が結びついているか。通信型ドライブレコーダー「Offseg」なら運行記録とまとめてアルコールチェックの結果を確認・管理することができます。ツールの導入で、効率的に安全管理を行うことを検討してみてはいかがでしょうか。