白ナンバー事業者へのアルコールチェック義務化や、物流業界の「2024年問題」を背景に、社用車・営業車の運転リスクをどう管理するかが、企業にとって避けられない経営課題になっています。
従来型(SDカード型)のドライブレコーダーは映像を記録する機能には優れているものの、確認できるのは「事故が起きた後」が中心でした。そこで注目されているのが「通信型ドライブレコーダー」です。走行データや映像をリアルタイムでクラウドに送信し、事故の予防、発生時の即時対応、日々の労務管理までを一元的に行えます。
本記事では、通信型ドライブレコーダーの仕組みとメリット、導入前の注意点、選び方のポイント、導入までの流れ、活用できる補助金制度まで、法人導入の検討に必要な情報を解説します。

1. なぜ今、法人で通信型ドライブレコーダーが求められているのか

法人で通信型ドライブレコーダーが注目される背景には、安全管理に関する法規制の強化と働き方改革があります。

安全運転管理者制度の強化と企業の管理責任

自家用自動車(白ナンバー)を使用する事業者のうち、社用車を5台以上、または乗車定員11人以上の車を1台以上使用する事業所には、安全運転管理者の選任が義務付けられています(道路交通法第74条の3、同法施行規則第9条の8)。2022年4月からは安全運転管理者の業務にアルコールチェックが追加され、2023年12月からはアルコール検知器を用いたチェックも義務化されました(同法施行規則第9条の10)。
飲酒運転や過労運転を防ぐため、企業がドライバーの運転状況を適切に管理する責任は大きくなっています。通信型ドライブレコーダーは、走行データという客観的な記録を残せるため、こうした管理体制の構築に有効なツールとなります。
▼安全運転管理について、以下の記事でも解説しています。▼

働き方改革関連法による時間外労働の上限規制

2019年4月(中小企業は2020年4月)から、働き方改革関連法により時間外労働に上限が設けられ、原則として月45時間・年360時間とされています(労働基準法第36条)。これはトラックドライバーに限らず、社用車や営業車を運転する一般の従業員にも当てはまります。
限られた労働時間で安全に業務をこなすには、移動や運転にかかる時間のムダを減らす工夫が欠かせません。走行データをリアルタイムで把握できれば、ルートや時間の使い方を見直すきっかけになり、働き方改革への対応にも役立ちます。

2. 通信型ドライブレコーダーの主なメリット

通信型ドライブレコーダーの最大の特徴は、即時性とデータ活用です。ここでは、2つの特徴がもたらす具体的な価値を見ていきましょう。

リアルタイムで位置・走行状況を把握できる

各車両の現在地や走行状況を事務所からほぼリアルタイムで確認できます。配送中のドライバーへ現在地に応じた配車指示を出したり、顧客から「今どのあたりか」と問い合わせがあった際に到着予定時刻を案内したりすることが可能です。直行直帰の勤務形態でも、走行記録によっては勤務状況を客観的に把握できます。

事故発生時に即時通知・迅速な初動対応ができる

走行中に強い衝撃を検知すると、その情報が自動的に管理者へ通知されます。事故発生時には発生場所や状況を速やかに把握でき、ドライバーの安否確認、保険会社への連絡、顧客対応に迅速に着手できるため、事後報告を待つ場合に比べて初動対応のスピード向上が期待できます。

危険運転を可視化し、安全指導・事故予防につなげられる

急加速・急ブレーキ・脇見運転といった危険運転のデータや映像を蓄積・分析することで、ドライバーごとの運転傾向を把握し、客観的な根拠に基づいた安全指導を行えます。具体的な映像や数値を示せるため、ドライバーの理解や納得も得やすくなります。AIによる危険挙動検知を搭載した機種なら、事故につながりかねない運転を早期に発見し、未然防止にも役立ちます。

労務管理・車両管理業務を効率化できる

走行データをもとに運転日報・月報の作成や安全運転診断を自動化でき、管理者が手作業で行っていた集計・分析の負担を軽減できます。アルコール検知システムと連携できる製品なら点呼業務の効率化にもつながります。また、多くの製品は駐車監視機能を備え、エンジン停止後も衝撃を検知すると自動で録画・通知が可能です。屋外や夜間の駐車が多い企業では、いたずらや当て逃げの早期発見にも有効です。

3. 失敗しない通信型ドライブレコーダーの選び方

通信型ドライブレコーダーは製品ごとに機能や価格帯が大きく異なります。ここでは、自社に合った1台を選ぶための判断軸を紹介します。

まず「導入目的」を明確にする

通信型ドライブレコーダーを選ぶうえで重要なのは、「何のために導入するのか」を明確にすることです。
「安全指導を強化したい」「事故時の初動対応を迅速化したい」「労務・運行管理の負担を減らしたい」「コストを見直したい」など、重視する点は企業によって異なります。優先順位を整理すれば、自社に必要な機能がおのずと見えてきます。

AI・アラート機能の有無と精度を確認する

近年はAIで危険運転を検知し、ドライバーへリアルタイムで警告する製品が増えています。脇見・スマホ操作・居眠り・車間距離不足・急加速・急ブレーキなど、検知できる内容は製品によって異なります。検知項目の多さだけでなく、検知精度が高い製品であれば、必要なタイミングで適切な警告を行い、安全運転の習慣化を支援できるでしょう。

管理システム(クラウド)の使いやすさ・連携性を確認する

管理画面は日常的に利用するため、見やすさや操作性が業務負担を左右します。運転日報の作成や安全運転診断をどこまで自動化できるか、車両管理システムやアルコール検知システムなど既存システムと連携できるかも確認しましょう。データを共有できれば、二重入力の手間を減らせます。

サポート体制と総コスト(初期+ランニング)を確認する

取り付けや初期設定をどこまで支援してもらえるかも重要です。通信型には個人向けと法人向けのプランがあり、法人向けでは複数車両の一元管理やアルコール検知システムとの連携、ドライバーごとの運転管理など、業務に役立つ機能が用意されているのが一般的です。初期費用と月額費用を含めた総コストで比較し、自社に最適な製品・サービスを選びましょう。

4. 通信型ドライブレコーダー導入の流れ

実際に通信型ドライブレコーダーを導入する際、どのようなステップを踏むのか、一般的な流れを紹介します。

STEP1:課題・目的の整理
まず、自社が解決したい課題と導入目的、対象となる車両の台数を整理します。
STEP2:製品比較・見積もり依頼
複数のメーカー・サービスから資料を取り寄せ、機能や価格を比較、見積もりを依頼します。
STEP3:デモ・トライアルでの検証
実際の管理画面の操作感や、現場での使い勝手を確認するため、デモやトライアルを利用して検証します。
STEP4:契約・車両への取り付け
導入する製品を決定して契約し、各車両への取付工事と初期設定を進めます。
STEP5:運用開始・社内定着
管理者やドライバーに対して運用ルールを周知し、実際の運用を開始します。

なお、補助金を活用する場合は、期間内に設置までの完了が条件になっていることがあるため、申請スケジュールに注意しましょう。

5. 通信型ドライブレコーダーで使える補助金は?

通信型ドライブレコーダーやデジタコ(デジタル式運行記録計)は、国土交通省の「被害者保護増進等事業費補助金」(運行管理の高度化に対する支援など)の対象となる場合があります。ただし、これらの補助金は主に貨物自動車運送事業者など事業用自動車(緑ナンバー)を対象としており、白ナンバー車両を保有する企業は対象外となるケースに注意が必要です。

補助金を受けるには、対象として認定された機器を選ぶ必要があります。対象機器・公募時期は年度ごとに変動するため、自社が対象になるかを含め、必ず最新の公募要領を確認しましょう。

6. 通信型ドライブレコーダーなら、デンソーテン「Offseg(オフセグ)」

「使いやすさ」と「管理のしやすさ」を両立した通信型ドライブレコーダーをお探しなら、デンソーテンの「Offseg(オフセグ)」をぜひご覧ください。