導入の経緯と効果

【課題】

  • 社用車の運転映像を確実に記録したい
  • 手書きの運転日報を効率化したい

【解決策】

  • 事故やヒヤリハットの検知時、クラウドに映像が保管される機能を活用
    (Offsegは内蔵メモリーに録画データを保存可能)
  • 運転日報の自動作成機能を活用

【効果】

  • 運転行動や位置情報を可視化したことで、管理が行き届きやすくなった
  • 運転日報のデジタル化により、1カ月あたり数時間の業務削減につながった

 

“街の電気屋”から始まり、最先端のEV事業へ

北海道電気相互株式会社 代表取締役 高橋伸和氏

――御社は、電源車やエネルギーマネジメントシステム(EMS※)など、電気にまつわる幅広い取り組みをされています。創業当時はどんな事業に取り組んでいたのでしょうか?

高橋氏:もともとは電気設備工事などを担う “街の電気屋”として2009年に創業したのが始まりです。その後の事業再編で、当時は売り上げの3割程度だった電源車や給電車、蓄電池やEMSなど自社オリジナルのサービスを、将来の主力として育てる方針に転換しました。

※エネルギーマネジメントシステム(EMS):オフィスビルや商業施設、工場や一般家庭などにおける電気やガスなどのエネルギー使用状況を把握・管理し、最適化(省エネ)に貢献するシステムのこと。

北海道電気相互が保有する移動型電源車。この車両にもOffsegが搭載されている。

――実際にどんな場面で御社の技術やサービスが活用されているのでしょうか?

高橋氏:特に求められているのは、BCP対策(事業継続計画)です。停電時に数秒で自家発電に切り替えることが可能で、サーバーや冷蔵庫などの重要設備への電力供給を維持することができ、さまざまな企業で活用されています。

例えば、今日も台風が近づいていますよね(※取材当時、台風10号が接近していた)。電源車の供給は、台風や地震などの災害による停電を想定して、7年前から注力し始めました。ここ2~3年で災害や緊急時に事業を継続させる対策の相談が増えたと実感しています。

また、EMSの分野では環境共創イニシアチブ(SII)の“エネマネ事業者”にも登録されていて、全国の大手スーパーやショッピングモールに100店舗以上の導入実績があります。

――今でこそ電気自動車(EV)の注目度は高まっていますが、当時はインフラや省エネの分野に注力する企業は、そう多くなかったのではありませんか?

高橋氏:世間より数年早く注力し、取り組んでいたと思います。今では独占的に取り扱える製品もあり、一般的な電気屋ではできないことにも幅広く対応できるようになりました。補助金の対象となる製品やサービスも豊富に取りそろえているので、今後ますます導入を広げられると考えています。

社用車へのOffseg搭載は、利用実態に応じて

――御社の事業を考えると、商業施設や病院、工場やオフィスビルなど、多様な現場に出向く必要があると思います。従業員ごとの運転距離にもばらつきがありそうですね。

高橋氏:そうですね。車で30分の場所に行くこともあれば、長距離になると札幌から300kmほど離れた稚内や釧路に行くこともあります。また現場だけではなく、展示会やイベントの際は道外へ赴き、電源車のPR活動も行っています。

――現在は、何台の社用車を運用しているのでしょうか?

高橋氏:全部で19台の社用車を保有しています。そのうちOffsegの搭載車両は、ライトバンやミニバン、電源車のトラックなどの作業車計12台です。

Offsegを搭載している北海道電気相互の社用車

――Offsegの搭載と非搭載はどのように区別しているのでしょうか?

高橋氏:搭載している車両は主に作業車です。作業車は直行直帰が多く事務所で動向の把握ができるので役に立っています。事務職員が使う社用車の場合は、近隣の移動のみに使うため管理の目が行き届きますし、1週間使わないケースもあるため、搭載していません。

社用車に搭載されたOffsegの端末

社用車の事故を機に、車両管理の改革に着手

――続いて、Offsegを導入した経緯について教えてください。

高橋氏:2年前、現場への移動中に従業員による追突事故が起きたことがきっかけです。当時は録画だけできる単機能型のドライブレコーダー(他社製)を搭載していたのですが、何らかの不具合でSDカードに映像が録画されていませんでした。

その結果、相手方との意見の食い違いから話し合いが難航してしまい……。その反省もあって、SDカードなどの媒体を使わずにクラウド上で映像を管理できる製品を求め、Offsegの導入に至りました。

――事故やヒヤリハットを映像として記録するニーズが出発点だったのですね。

高橋氏:実は、解決したい課題はもう一つあり、業務効率化につながるソリューションも探していました。Offsegの導入前は、紙の運転台帳を各車両に備え付けていて、どうしても記入漏れが起こることや、車両の稼働率を詳細に把握できないことが課題だったんです。

運転行動の細かな検知機能が、日々の車両管理に貢献

――それらのニーズを満たす機種として、Offsegを選んでいただいたのですね。実際に導入してから約1年経過して、率直な感想はいかがでしょうか?

高橋氏:当初要望していたクラウドでの映像記録はもちろんですが、従業員の運転行動を管理できる機能も有用です。もし従業員が危険な運転行動をした場合、事務所にいる安全運転管理者のもとに通知がすぐ送られるので、安全運転の意識が向上し、導入後は事故がゼロになりました。

動態管理のサンプル画面。マップ上にリアルタイムの車両位置を表示できる。

――日々の運転管理では、どんな通知が届くのでしょうか?

高橋氏:急アクセルや急ブレーキなどが比較的多い印象です。それ以外にも、悪い運転姿勢まで検出して、「そんなところまで見ているのか」と感心しました。安全運転への意識を高める一つのきっかけになるのではないでしょうか。

――運転行動は「安全運転診断」の機能でスコア化することも可能です。こちらの機能は活用していますか?

高橋氏:安全運転スコアのチェックは定期的に行っています。スコアやランキングはオープンにしているので、従業員が競い合う場面も出てきました。今後の一案ですが、無事故・無違反を継続した従業員を表彰する制度を導入すれば、より安全な運転につなげられるかもしれません。

安全運転診断のサンプル画面。危険挙動・道交法違反・運転者不注意の3つの診断項目で総合評価を行う。

――そのほか、導入してから効果を感じた機能があれば教えてください。

高橋氏:弊社の社用車は、従業員に車両1台を割り当てるのではなく、空いている車両を全員で共用しています。同じ車両でも運転する従業員が日ごとに変わりますから、運転免許証を認証して、車両と運転者をひもづけられる機能が便利でした。

運転者を識別するICカードリーダー。運転免許証のほか、オプションで一部の社員証などにも対応できる。

運転日報の自動作成で、業務負担を大幅に改善

――もう一つの課題に挙げていただいた、日報の件はどうでしょう?

高橋氏:紙の運転日報には、訪問先や走行距離、運転時間を手書きで記入していました。特に手間がかかるのは走行距離の記入でしたね。距離の積算をトリップメーターに切り替えれば済む話ですが、押し忘れてしまうことも多々あり、電卓をはじいて記入することも多かったんですよ。

――運転日報の記入には、どれくらいの時間がかかっていたのでしょうか?

高橋氏:毎日5~10分程度はかかっていました。Offsegの導入後は運転日報を自動で作成できるようになったので、1カ月単位で考えれば数時間分の時間削減になりますし、面倒な業務をなくせたことで従業員の精神的な負担も軽減できたと思います。また、記入漏れや間違いがほぼなくなり、管理側の手間も省けました。

運転日報・月報の作成機能では、ドライバー情報や車両情報に加え、アルコール検知結果も反映できる(連携可能な検知器を用いている場合)

――業務面に関して、そのほかに効果を感じている機能があれば教えてください。

高橋氏:走行軌跡や現在位置を管理者がいつでも把握できることで、「現在車はどこを走っているのか?」「走行ルートは適切か?」といったことがすぐに確認ができ、業務を適切に管理できるようになりました。車両管理と業務管理を同時に行えるようになり、業務の効率化が図れるようになったので、事務作業の軽減になったと感じています。

「煩わしい」からこそ効果がある!?

――社用車の事故がきっかけとのことですが、Offsegのような通信型ドライブレコーダーを導入することに、社内から反対の声はありませんでしたか?

高橋氏:正直な話、「自由がなくなる」「常に監視されている」「プライバシーが侵害されている」と反対する意見がほとんどでした。ただ、事故や違反が相次いでいた状況だったので、「従業員の安全を守るため」と説明しました。

事故が発生すると、もちろん車の修理費用がかかり、保険料の高騰の原因になります。そして社会的信用の毀損にもつながるなど、金銭以外の多大なコストが発生します。場合にはよっては事業の継続が危うくなる状況に陥る可能性もあるで、「会社を守るため」にも導入する必要がありました。

――「自由がなくなる」との意見から考えると、社用車はパーソナルスペースだと考えている方が多かったのでしょうか?

高橋氏:許可を取れば、通勤時や休日の使用も認めているので、プライベートな空間という認識があったようです。Offsegを導入したことで、そのような会社の管理が行き届きにくい利用場面でもデータを残し、安全面や管理面では非常に役立っていると思います。

――実際、Offsegの導入で、従業員の意識や行動が変わったと感じていますか?

高橋氏:変わっていると思いますよ。「本当に煩わしい」と感じていると思います。

――煩わしい、ですか。あまりいい意味ではない言葉にも取れますが……。

高橋氏:煩わしいと感じるのは、ある意味ドライブレコーダーに「ちゃんと見られている」と意識しているからです。まともに管理されていない状況下であれば、そんな言葉は出てきませんから。

例えば運転行動のアラートが出たとき、煩わしく感じるドライバーもいるかもしれません。ただそれも、Offsegが運転を管理する役割を十分に果たしているからこそ生まれてくる反応ではないでしょうか。設置しておくことで緊張感を持って運転するようになり、危険運転を抑制する効果もあり、「しっかり見てくれる」機器だと評価しています。

▼デンソーテンの通信型ドライブレコーダー「Offseg(オフセグ)」の強み

POINT1: トラブルをふせぐ

メインユニットと通信ユニットを分離して名刺サイズに小型化された本体は、運転席からの視界もしっかり確保。さらに、標準設定のカメラは、フルHDで200万画素、2カメラ一体型で約360°の撮影が可能で、高画質に広範囲を録画できます。さらに後方をしっかりカバーしたい場合は、オプション設定でリアカメラの取り付けも可能です。

POINT2: 事故をふせぐ

人的事故要因の約7割を占める、安全不確認や前方不注意など主要な12シーンをAIが自動で検出し、管理者や運転者に警告、通知することができます。さらに、信号無視や車間距離不足といった6シーンは、リアルタイムに警告することも可能です。

POINT3: ムダをふせぐ

Offsegは、安全運転管理、車両管理の効率的な運用にも貢献できます。個々のドライバーの運転行動を評価する「安全運転診断」や、「運転日報・月報の自動作成」など、日々の業務をサポートする機能を多数取りそろえています。

【NEW】他社システムと連携して、アルコールチェック義務化にも対応!

2023年12月、アルコール検知器によるチェックの記録と保存が義務化されました。この法改正を受けて、Offsegはパイ・アール製の「アルキラーNEX」とアネストシステム製「BSS for ALC」との連携を開始。

他社アルコール検知システムとの連携によって、ドライバーがアルコールチェックを行うと、アルコール検知システムを提供する各社のクラウドへ測定結果がアップロードされます。その後、Offsegのクラウドと連携し、Offsegの日報・月報に測定結果を表示する仕組みです。

安全運転管理者はOffsegの管理画面上でドライバーごとの運行記録とアルコール検知結果を同時に確認でき、管理業務の効率化へとつながります。ぜひご活用ください!

通信型ドライブレコーダー「Offseg」