青果のコールドチェーンを支える急成長企業

——はじめに、御社の事業内容を教えてください。

仲山氏:エフエスロジスティックスは、東証スタンダードに上場している青果の専門商社デリカフーズのグループ企業として2014年に設立した会社です。デリカフーズはさまざまな大手外食チェーンに野菜や果物などを卸しているので、影の黒子的な存在ですが、実は外食を経験された方は殆どの皆さんが弊社の野菜を召し上がって頂いていると思います。

グループ内の物流部門を担うエフエスロジスティックスは、協力会社を含めて1日約3万店舗への配送を行っています。青果は鮮度が重要ですから、冷蔵車によるコールドチェーンを徹底して新鮮な状態でお届けしています。デリカフーズの急速な事業拡大に伴い、弊社も設立後の10年間で大きな成長を遂げました。

エフエスロジスティックス株式会社 取締役 副社長 仲山紺之氏

 

——現在の事業規模について教えてください。

川窪氏:首都圏は本社のほかに営業所が3箇所あり、名古屋、大阪、福岡にも拠点を構えています。現在141台の車両(冷蔵車)を保有しており、ドライバーは約200名が在籍中です。車両構成は店舗配送用の2t車と3t車が8~9割程度を占め、そのほかは4t車と大型車です。大型車は東北から九州までの幹線輸送に使用しています。

仲山氏:ちなみに現在は、働き方改革の一環で、軽トラを1台購入して、近距離・短時間の配送シフトも整備しようと計画しているところです。

エフエスロジスティックスの冷蔵車

 

重大事故を機に管理体制を強化

——Offsegを導入した背景について教えてください。

仲山氏:2年前に起こった重大事故が転機となりました。デリカフーズグループとして、社会性や公共性を重視した取り組みを続けている中で、重大事故撲滅を徹底させたいとの気持ちがありました。

当時の大きな反省は、事業が急拡大する中で、従業員の管理体制や安全運転の指導などを行う体制が十分に整備されていなかったことです。グループ内の経営陣と協議を重ね、「物流を担う企業として一流の安全運行管理体制を構築する」との方針を固めました。

具体的には、物流業界のプロフェッショナルを招聘しました。もともと川窪も大手運送会社の出身です。それぞれの人材が営業面のみならず、運行管理や安全運転教育といった分野に高い専門性を有していて、彼らのノウハウを生かしながら会社全体の底上げを図っていきました。Offsegを導入したのも、その取り組みの一環だったんです。

車内に取り付けられたOffsegの端末

 

——なぜ数ある機種の中から、Offsegを選んでいただけたのでしょうか?

仲山氏:「絶対に事故をなくす」という強い決意のもと、ドライバーの運転状況を正確に把握し、インシデントやその予兆を高精度に検知できるドライブレコーダーを探していました。映像の録画だけできる単機能型から多機能な通信型まで、それこそ50機種くらい比較検討したと思います。その中でデンソーテンのOffsegが最適だと判断し、全車両への導入を決めました。

Offsegは、事故リスクの高い12シーンをAIが検出し、ドライバーや管理者に警告・通知を行うことが可能。

 

決め手になったのは、人的事故の要因となるシーンをAIが検出してくれる機能です。脇見運転や居眠り運転、スマートフォンの操作など、事故につながりやすい行動を幅広く自動検知してくれる点が特に優れていました。

川窪氏:ちなみにデジタルタコグラフも全車両に導入しており、配送時間の記録や冷蔵車の温度管理を行っています。デジタコで配送サービスの品質面を担保し、ドライブレコーダーで安全面をカバーするという役割分担で運用しています。

エフエスロジスティックス株式会社 執行役員兼事業統括本部長 川窪 厚志 氏

 

徹底した全数チェックと評価体制の構築

——管理面ではOffsegをどのように運用しているのでしょうか?

川窪氏:役員と管理職で手分けしながら、ドライブレコーダーで録画された映像の全数チェックを毎日行っています。

――全数を毎日となると、相当な労力が必要になるのではないでしょうか?

川窪氏:導入当初は、AIによる検出映像が1日あたりの上限値である400件ほど記録されていましたから、実際にはそれ以上の数が発生していたと推測できます。もちろん実際には頬を触るだけなどの問題ない挙動を検出している場合も一部ありますから、それら全てを確認する必要があります。その労力は、おっしゃる通り相当なものです。

仲山氏:せっかく導入したシステムですから、120%活用しなければ意味がないという考えで取り組みました。問題のある映像はシェア映像として保存し、該当するドライバーに対する指導に活用する方針を徹底しています。

――導入に際して、ドライバーからの反発はありませんでしたか?

仲山氏:キャビン内部も録画するので、確かにプライバシーの観点から懸念を示す人もいました。そうした反発を起こさないために、全員と個別面談を実施して「Offsegは、皆さんを守り、待遇を改善するためのシステム」だと丁寧に説明しました。

――「待遇を改善」という点では、具体的にどのような活用をしているのでしょうか?

仲山氏「安全運転手当」という制度を新設し、1カ月間無事故でOffsegによるインシデント検知もなかった場合は、月額1万円を支給することにしました。1年間継続できれば年間12万円になるわけですから、決して小さな金額ではありません。こういった評価制度を設けることも非常に重要だと考えています。

 

——手当を支給するには、公平な判断基準が求められそうです。そのためにOffsegの機能は貢献できているでしょうか?

川窪氏:現状では、全営業所長と管理職による協議と映像の全数チェックの結果を組み合わせて、手当の支給・不支給を決定する仕組みですから、Offsegの映像はもちろん役に立っています。

例えばOffsegが赤信号無視を検知した場合も、停止線の手前で赤信号になった場合は明確な違反としていますが、停止線を越えて交差点に入ってから赤信号になった場合は、急ブレーキを踏んだ方が危険なケースも多々あります。そうした状況を総合的に評価する必要がありますから、高精度な映像は欠かせません。

高画質のカメラで約360°を録画・保存できる(オプションでリアカメラも搭載可)

 

さらに、ドライバーの運転情報の取りまとめも行っていて、違反や事故の有無、お客様からのクレーム情報などを項目別に分類して12カ月分管理しています。単なる粗探しではなく、安全運転への意識向上とレベルアップを目的とした管理体制を構築しています。

事故や違反の削減から、健康管理への新たな応用も

——Offsegの導入後、定量的な面で改善は見られましたか?

川窪氏:現在は1日50~70件程度の検出まで減り、導入から間もないころの400件からは大幅に改善されています。当初の目的であった、ながら運転や脇見運転の撲滅については一定の成果をあげていると言えるでしょう。事故件数についても、2023年度の有責事故は49件でしたが、2024年度は34件と約30%減少しました。

――定性的な面についてはいかがでしょう?

川窪氏:ドライバーの安全意識は大幅に向上したと考えています。実際に、先ほど申した安全運転手当の支給率も増加傾向にあります。

ただ率直に言って、定量的にも定性的にも十分に改善できたとはまだまだ言えないレベルですから、さらなる改善が必要だと認識しています。

車内に取り付けられたOffsegの端末

 

——今後Offsegをどう活用する方針でしょうか?

仲山氏:現在は健康面で注意が必要なドライバーを早期に発見し、適切な対応を取ることに重きを置いています。Offsegの優れた点として、運転中の脇見や居眠りを検知してくれることが挙げられます。こうした検出映像を弊社で活用することで、例えば睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合は、医療機関での診療を促すなど、予防的な健康管理が可能です。

当社には専属の保健師が執行役員として在籍しており、全ドライバーを対象とした年2回の健康診断の徹底、個別面談や残業時間の長いドライバーへのフォローなど、きめ細かい健康管理を実施しています。Offsegの高精度な映像データは、こうした取り組みにおける重要な判断材料となると実感しています。

▼デンソーテンの通信型ドライブレコーダー「Offseg(オフセグ)」の強み

POINT1: トラブルをふせぐ

メインユニットと通信ユニットを分離して名刺サイズに小型化された本体は、運転席からの視界もしっかり確保。さらに、標準設定のカメラは、フルHDで200万画素、2カメラ一体型で約360°の撮影が可能で、高画質に広範囲を録画できます。さらに後方をしっかりカバーしたい場合は、オプション設定でリアカメラの取り付けも可能です。

POINT2: 事故をふせぐ

人的事故要因の約7割を占める、安全不確認や前方不注意など主要な12シーンをAIが自動で検出し、管理者や運転者に警告、通知することができます。さらに、信号無視や車間距離不足といった6シーンは、リアルタイムに警告することも可能です。

POINT3: ムダをふせぐ

Offsegは、安全運転管理、車両管理の効率的な運用にも貢献できます。個々のドライバーの運転行動を評価する「安全運転診断」や、「運転日報・月報の自動作成」など、日々の業務をサポートする機能を多数取りそろえています。

通信型ドライブレコーダー「Offseg」