【NEWS RELEASE】
2004(平成16)年10月7日
〜時速100km走行での安定した地上デジタルTV放送受信を実現〜
車載用地上デジタルTV放送用ASICとそれを搭載したTVチューナを開発

−ITS世界会議愛知・名古屋2004に参考出品−
左:OFDM復調用ASIC / 右:映像処理ASIC

 富士通テン株式会社(本社:神戸市 社長:槌本隆光 資本金:53億円)は、車の移動中でも安定した地上デジタルTV放送の受信を可能とする「OFDM(*1)復調用ASIC(*2)」と、デジタルTV映像及び操作画面を車載TVで表示するための「映像処理ASIC」を、富士通株式会社及び株式会社富士通研究所と共同開発するとともに、これらのASICを搭載した「車載用デジタルTVチューナ」を開発しました。
 この「車載用デジタルTVチューナ」を、2004年10月19日(火)から名古屋市において開催される「ITS世界会議愛知・名古屋2004」の展示会に出品いたします。

 高品位映像/音声、データ放送などの高機能なサービスが可能となる地上デジタルテレビ放送は2003年12月に関東・中京・近畿の三大広域圏で放送が開始されました。2006年には全国展開され、2011年7月には現行のアナログテレビ放送終了が国の方針として決定されています。

 地上デジタルTV放送は、家庭用放送(固定TV向け、ハイビジョン映像)とは別に、携帯端末向け放送のサービスも想定されていますが、これは、移動体で安定受信できる反面、小さな画面で表示することを前提としているため画像のデータ量が少なく、家庭用放送に比べ映像品質が劣ります。また、家庭用放送を移動体(車載TV)で受信した場合、家庭用TVチューナと同じ方式では、時速35km以上の走行環境においては受信が困難となっています。 

 そこで今回、移動体(車載TV)でも、家庭用の地上デジタルTV放送を安定して受信できる「車載用デジタルTVチューナ」を開発いたしました。このTVチューナには、新たに開発した「OFDM復調用ASIC」と「映像処理ASIC」を搭載することにより、今まで困難だった高速走行での安定した放送受信を可能にしました。

 「OFDM復調用ASIC」は、移動環境による様々な受信障害を解決すべく独自開発した方式と回路を内蔵するとともに、デジタルTV用に開発したアンテナによるダイバーシテイ受信(*3)との組み合わせにより、時速100km走行でも家庭用放送の受信を可能にしています。また、このASICは、車載機での受信に必要となる複数のOFDM復調回路を1パッケージ化したことにより、チューナの小型化を実現しました。

 「映像処理ASIC」は、走行中に放送が途切れた場合(トンネルや高層ビル街等)でも、途切れる直前の画面を保持することにより、映像の乱れを少なくしています。また、車載TV特有のタッチパネル操作、前席・後席ディスプレイへのインタフェース等を実現しており、地上デジタルテレビ放送を車のディスプレイに表示する場合に必要な処理をASIC化しました。

【車載用デジタルTVチューナの主な特長】
■車での移動時に、安定したハイビジョン映像受信を実現
■複数の回路を1パッケージ化したことにより小型化を実現
■電波遮断時(トンネルなど)に、遮断直前の画像を保持することにより、画像の乱れを抑制

【用語解説】
(*1) OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing
直交周波数分割多重方式。地上デジタルTV放送において採用されている放送波の変調方式名称。
(*2) ASIC:Application SpecificIC
特定用途向け集積回路。特定の用途のために設計・製造されるLSI(大規模集積回路)の総称。
(*3) ダイバーシテイ受信:
アンテナ、復調部等を複数個持ち、電波環境の変化に応じて、受信状況のよいアンテナ、復調部等を選択、又は合成して受信する方式の名称。


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