DENSO TEN Technical Review

デンソーテンテクニカルレビュー

ディスプレイ低反射化のためのオプティカルボンディング工法の開発

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マルチメディア
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はじめに

昨今の車載マルチメディア製品の動向を見るとデザインの多様化やディスプレイへの情報量の増加に伴う大型化が進んでいる。しかし、これらによりディスプレイに外光が当たりやすくなり、外光反射によりディスプレイが見にくくなる問題が出てきている。これらを解決する方法として、外光反射を低減することができるオプティカルボンディングの適用がある。オプティカルボンディングとはガラスと液晶の間に透明樹脂を充填させることにより、外光反射を抑制する技術である。
当社ではこのオプティカルボンディングの内製による工法・装置開発に取り組んだ。

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工法・開発概要

オプティカルボンディングでの透明樹脂の充填方法としては、大きく以下のステップで行う。

Step1:ガラスに透明樹脂を塗る
Step2:塗った透明樹脂を硬化させる
Step3:透明樹脂を塗ったガラスと液晶を貼り合わせる

オプティカルボンディングの工法・装置開発は気泡や異物混入による外観不具合の撲滅と多品種少量生産を高い生産性で実現することを目指して行った。

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開発課題と対策

解決すべき課題としては大きく四つあり、具体的な対策を以下に示す。

課題①:気泡混入防止のための塗布形状形成
    ガラスと液晶の貼り付けは真空下で実施しているが、気泡が混入する場合がある。
対 策:透明樹脂の塗布速度を制御することにより、気泡混入の防止と最適な塗布形状の形成を行った。

課題②:異物混入防止のためのクリーン対策
    ガラスと液晶の中に異物が混入すると外観不具合や製品不良となる。
対 策:透明樹脂の塗布から貼合までの工程を完全自働化する装置開発と、装置のクリーン対策を実施した。

課題③:多品種少量生産のための段替え時間の大幅短縮
    在庫の最小化のために多品種少量生産を目指し、段替え時間の短縮に取り組んだ。
対 策:「塗布ノズルを分解せずに塗布幅を交換できる方法」や「効率的な気泡抜き方法」の確立を行った。

課題④:フレキシブルな意匠形状への対応のための装置開発
    デザインの多様化によって、多種類のガラス形状に対応する必要があり、
    課題は装置でフレキシブルに対応出来るようにすることである。
対 策:カメラを使った位置補正をガラス個々で変わる「外形形状」から、
    ガラス形状が変わっても共通である「ガラスの開口部」で行った。

まとめ

今回、当社初となるオプティカルボンディングの装置開発を行い、量産を開始している。今後はこの開発したオプティカルボンディング工法をベースに製品動向に合わせて、引き続き製品の付加価値を高める技術開発に取り組んでいく。

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