DENSO TEN Technical Review

デンソーテンテクニカルレビュー

音響信号から振動信号をリアルタイムで自動生成する技術の開発

はじめに

近年、現実世界と仮想世界を融合し様々な仮想体験を提供する技術が、ゲームの世界だけでなく会社業務や日常生活においても普及しつつあります。自動車分野においても、運転シミュレータやナビゲーション案内などにその技術が注目されています。特に最近では、シートに振動デバイスを組み込み、触覚を活用して臨場感をより高める取り組みも行われています。
そこで私たちは、仮想空間上に配置されている物の状態から振動効果を与えるシーンを自動検出し、そのシーンの音響信号と連動する最適化された振動信号をリアルタイムで自動生成する技術を開発しました。

課題

従来の技術では以下の課題がありました。

課題1:コンテンツ開発者が事前にシーンに適した振動信号を生成する作業が必要。
課題2:限られた振動デバイスで、シートの上の狙った位置を振動させることが必要。
課題3:音響信号を単純に振動信号に変換するだけでは、振動生成に重要な低音領域が不足。

開発技術

それぞれの課題に対し、以下の技術を開発しました。

課題1への対応:
ベースとなるコンテンツデータから振動を与えるシーンを特定し、そのシーンの音響信号に連動した振動信号をリアルタイムで自動生成する技術を開発。

課題2への対応:
錯覚現象を用いることで、限られた振動デバイスでも、任意の箇所での振動感覚や振動の方向感を再現する技術を開発。

課題3への対応:
ピッチシフトによって低音領域を他の領域から補填することで、低音域においても振動に最適な振動信号を生成する技術を開発。

まとめ

今回開発した技術によって、コンテンツで得られる体験を更に臨場感が高いものとすることができました。今後は、実用化に向けて更に技術の完成度向上に取り組んでいきます。