DENSO TEN Technical Review

デンソーテンテクニカルレビュー

小型eモビリティの多様化ニーズに対応したVCU(Vehicle Control Unit)の取り組み

分野
小型モビリティ
関連製品
VCU(Vehicle Control Unit)
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はじめに

近年、温室効果ガスの削減や移動手段の多様化によって小型eモビリティの普及が進んでいます。当社は、小型eモビリティに求められる電源 / ボディ / 走行制御機能を統合したVCU(Vehicle Control Unit)を開発しています。
小型eモビリティは一般の四輪車両と比較して、小型・軽量であり、また開発期間が短いといった課題があります。これらの課題に対して、求められる標準機能の見極めによるサイズダウン、小型eモビリティならではの付加価値提供できる機能開発、アプリ制御開発が容易なオープンプラットフォーム(以下オープンPF)の開発に取り組んできました。

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VCUの標準機能と付加価値機能

多様な小型eモビリティに適用可能なVCUとして仕様を策定するため、各カテゴリの車両システムを調査するとともにOEMニーズの把握を行いました。
調査結果を反映し、24V対応や防水機能を備えた上で、必要最低限の汎用入出力を選定することで小型のコネクタ採用と基板サイズ小型化を実現し、小型VCUを開発できました。
OEM各社が独自の付加価値を提供しやすい環境を整えるため、VCUにはG(加速度)/ ジャイロ(角速度)センサ及びBluetooth®を搭載しました。これにより、独自の走行制御の構築や、スマートフォンを介した通信機能を実現することが可能になります。

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オープンプラットフォーム

従来のECU開発では、OEMがシステム設計・評価の上流工程を行い、サプライヤがソフトウェアの実装・評価の下流行程を行うといったプロセスサイクルを何度も回して量産開発を行っています。一方で小型eモビリティは、新しい機能を短期間で開発~評価したいというお客様ニーズもあるため、アプリケーション開発をお客様内でプロセスサイクルを回すことが可能な開発モデルを提案しています。
マイコンの知見がないアプリケーション開発者がプラットフォームソフトウェアを制御できるよう、設定箇所のパッケージ化やユーザーライクなインターフェースの提供、専用モデルベース開発ツールの提供を行います。これによって、OEM単独でのソフトウェア開発が可能になり開発期間の短縮が見込まれます。

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まとめ

今回開発したVCUは、小型eモビリティを簡単・スピーディに実現できる構成となっており、またコネクティッド機能などの新たな付加価値を提供可能な仕様となっています。提案するオープンPFコンセプトはやりたいことを素早く試して実証したいお客様から好評を頂いており、狙いどおりの開発が行えたと考えています。
小型eモビリティの使われ方は更に拡がっていくと考えており、これからの新たなニーズに応えるように次世代VCUの企画/開発を継続していきます。