DENSO TEN Technical Review
デンソーテンテクニカルレビュー
グローバル規格に対応した充電制御ECUの開発
- 分野
- e-mobility
- 関連製品
- 充電制御ECU
はじめに
近年、カーボンニュートラルの実現を目指し、電気自動車(Electric Vehicle, 以下、EV)が市場投入されています。またEV急速充電用の高出力な充電設備(Electric Vehicle Supply Equipment以下、EVSE)のインフラ整備も進められています。ユーザが安心・安全にEVを充電するためには、EVとEVSE双方の機器が充電規格を満足すること(相互接続性の確保)が必要です。しかし、世界各地域で異なる充電規格が採用されているため、EV、EVSEをグローバル展開する企業はこれら全ての規格へ対応しなければなりません。
当社では、グローバル規格に対応したEV用充電制御ECUを開発しており、その中で急速充電に対応したEVSEとの相互接続性の向上に取り組んできました。

充電制御ECUとは
充電制御ECUは、下図に示すようにEVとEVSEをつなぐ製品であり、充電プラグの接続検知、EVシステムの起動、高圧バッテリーの状態から最適な充電をするための電力算出、EVSEとの協調制御などを行います。規格ごとに通信方式や入出力信号、充電手順が異なるため、当社の充電制御ECUもそれぞれの規格に適合した設計・評価を行っています。

相互接続性向上の取り組み
市場での問題として、EVとEVSEの双方が規格適合基準を満たしていても、充電できないケースが発生しています。この問題を解決するには、相互接続性の向上が必要です。そこで当社は、ECU試作段階から欧州・北米・中国の拠点を活用し、各地域の主要EVSEメーカと合同の相互接続性テストに取り組んでいます。2017年からの実績として、46社のEVSEメーカと協力して、EV、EVSE双方で50件以上の改善を図ることに成功しました。

まとめ
今回の取り組みにより、当社の充電制御ECUを搭載するEVをグローバル市場へ投入する前に急速充電の相互接続性の向上を図ることができました。本取り組みはユーザの安心感へ直結し、EV普及へ貢献できていると考えています。EV普及と将来のスマート社会に向けて、更なる相互接続性の向上に取り組んでいきます。