富士通テン株式会社(本社:兵庫県神戸市 社長:勝丸 桂二郎 以下、富士通テン)とトヨタ紡織株式会社(本社:愛知県刈谷市 社長:本並 正直 以下、トヨタ紡織)は、車の天井材を振動させて音を再生する新構造の車載用スピーカシステム「ヘッドライナースピーカシステム」を開発いたしました。
従来のドア部分(下方)に取り付けていた車載用スピーカに加え、天井全体(上方)から音を降り注がせるため、スペースの限られた車室内空間に拡がり感と高い音場感をもたらし、あたかもリスニングルームのような広い空間を感じさせることができます。
このスピーカシステムは、2006年1月にトヨタ自動車株式会社から発表された、新型エスティマに採用されています。
【開発の背景】
車に求められる要素「快適性」の中で、「音響」は欠かすことのできない要素のひとつです。スペースの限られた車室内空間を広々としたリスニングルームのように感じさせるためには、メインスピーカに加え、車室内の高い位置(天井)に補助スピーカを取り付け、どの席にも均等に音を伝える必要があります。そのためには、補助スピーカに関する工夫が不可欠です。
【課題】
従来構造のスピーカをそのまま天井に取り付けたのでは、「指向性が狭く音の臨場感が不足する」「厚みがあり搭載性が悪い」「質量が重く取り付け強度が必要」、またこれらによって取り付け構造が複雑になるなど、様々な課題がありました。
【開発の主なポイント】
1. |
小型・薄型/軽量の振動子(エキサイタ)を開発 |
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応力解析等シミュレーション技術を活用し、車載環境に耐える部品形状を実現。 |
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天井と天井材との間の限られたスペースを考慮し、3D-CADを用いて構造を工夫し、音響性能を維持しつつ極限まで薄型化。 |
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天井の温度上昇の中での動作に耐えられるよう、特殊な放熱構造を採用。 |
2. |
天井材への固定構造を開発 |
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脱着性などのサービス性を考慮して、ネジ式による取り付け構造を採用。 |
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振動子から天井材へ振動を効率良く伝達するための構造を採用。 |
3. |
英国New Transducers Limited社のNXT(R)フラットパネルスピーカ技術を活用。 |
【効果】
1. |
高音質化 |
:限られた車のスペースで拡がり感と高い音場感の実現 |
2. |
軽量化 |
:▲63% |
3. |
小型・省スペース化 |
:▲56%
(各、口径65mmの富士通テン従来スピーカの天井取り付け比) |
【開発分担】
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・富士通テン |
:振動子の開発、スピーカシステムの音響設計 |
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・トヨタ紡織 |
:天井材の開発 |
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・富士通テン・トヨタ紡織共同 |
:振動子とブラケットの嵌合方法の開発 |
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【ヘッドライナースピーカシステム技術開発について】 |
新開発の小型/軽量エキサイタを成形天井裏面に固定

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【注釈】
・NXTは、New Transducers Limited社の登録商標です。
・ヘッドライナースピーカシステムは、富士通テン(株)の商標です。
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