2006年2月9日
富士通テン株式会社
トヨタ紡織株式会社
車の天井材を振動させて音を再生する「ヘッドライナースピーカシステム」開発
〜車室内をリスニングルームのような「広い空間」に〜
 富士通テン株式会社(本社:兵庫県神戸市 社長:勝丸 桂二郎 以下、富士通テン)とトヨタ紡織株式会社(本社:愛知県刈谷市 社長:本並 正直 以下、トヨタ紡織)は、車の天井材を振動させて音を再生する新構造の車載用スピーカシステム「ヘッドライナースピーカシステム」を開発いたしました。
 従来のドア部分(下方)に取り付けていた車載用スピーカに加え、天井全体(上方)から音を降り注がせるため、スペースの限られた車室内空間に拡がり感と高い音場感をもたらし、あたかもリスニングルームのような広い空間を感じさせることができます。
このスピーカシステムは、2006年1月にトヨタ自動車株式会社から発表された、新型エスティマに採用されています。

【開発の背景】
 車に求められる要素「快適性」の中で、「音響」は欠かすことのできない要素のひとつです。スペースの限られた車室内空間を広々としたリスニングルームのように感じさせるためには、メインスピーカに加え、車室内の高い位置(天井)に補助スピーカを取り付け、どの席にも均等に音を伝える必要があります。そのためには、補助スピーカに関する工夫が不可欠です。

【課題】
 従来構造のスピーカをそのまま天井に取り付けたのでは、「指向性が狭く音の臨場感が不足する」「厚みがあり搭載性が悪い」「質量が重く取り付け強度が必要」、またこれらによって取り付け構造が複雑になるなど、様々な課題がありました。

【開発の主なポイント】 
1. 小型・薄型/軽量の振動子(エキサイタ)を開発
応力解析等シミュレーション技術を活用し、車載環境に耐える部品形状を実現。
天井と天井材との間の限られたスペースを考慮し、3D-CADを用いて構造を工夫し、音響性能を維持しつつ極限まで薄型化。
天井の温度上昇の中での動作に耐えられるよう、特殊な放熱構造を採用。
2. 天井材への固定構造を開発
脱着性などのサービス性を考慮して、ネジ式による取り付け構造を採用。
振動子から天井材へ振動を効率良く伝達するための構造を採用。
3. 英国New Transducers Limited社のNXT(R)フラットパネルスピーカ技術を活用。

【効果】
1. 高音質化 :限られた車のスペースで拡がり感と高い音場感の実現
2. 軽量化 :▲63%
3. 小型・省スペース化 :▲56%
 (各、口径65mmの富士通テン従来スピーカの天井取り付け比)

【開発分担】
・富士通テン :振動子の開発、スピーカシステムの音響設計
・トヨタ紡織   :天井材の開発
・富士通テン・トヨタ紡織共同 :振動子とブラケットの嵌合方法の開発


【ヘッドライナースピーカシステム技術開発について】 
新開発の小型/軽量エキサイタを成形天井裏面に固定


【注釈】
・NXTは、New Transducers Limited社の登録商標です。
・ヘッドライナースピーカシステムは、富士通テン(株)の商標です。

[報道関係お問い合わせ先]
コーポレートコミュニケーション部 広報チーム
TEL:078-682-2170
E-mail:pr@ten.fujitsu.com

プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容などは発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。