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業界初 バーチャルなカメラ画像を確認できるリアルタイムシミュレータを開発
~3次元仮想試作システムVPS上にカメラ検証機能を実現~
~車載カメラ搭載製品設計時の検討工数を約1/10に短縮 & 画像品質の向上~

富士通テン株式会社(注1)(以下、富士通テン)と株式会社富士通研究所(注2)(以下、富士通研究所)は、3次元仮想試作システムVPS(Virtual Product Simulator)(注3)上で、製品の3次元設計モデルに仮想的なカメラを設置し、カメラ画像をリアルタイムに確認することができるカメラ画像シミュレータを、業界で初めて(注4)開発しました。歪み(ゆがみ)の大きい魚眼レンズをはじめ、各種カメラに対応します。 このシミュレータを使用することで、実機を使用することなくカメラで映し出す画像の範囲や見え方などの確認が可能となり、設計段階でレンズ仕様や最適な取り付け位置など様々な検討を行うことができます。

富士通テンで開発する車載用製品では、実際に車両にカメラを取り付ける必要が無く、パソコン上でカメラ画像の確認が可能となるため、設計段階の検討工数を約1/10に短縮することができます。さらに、様々な検討が行えることから高精度な画像確認が実現し、画像品質の向上にも貢献しています。 5月に発売されるトヨタ自動車のディーラーオプション製品(注5)「マルチアングル全周囲モニター」(注6)の開発にも活用し、取り付け誤差を考慮したカメラ画像や、車両周辺の任意の位置に配置した人や物の見え方の確認等、実機では実現困難な条件下での確認を行うことができました。 今後も車両にカメラを搭載する自社製品の開発に活用する他、富士通グループとして車載以外のカメラ製品への応用も検討していきます。

カメラ搭載設計の流れ

開発の背景

近年、バックモニターをはじめサイドモニターや全周囲モニター等、車へ搭載するカメラが普及しています。車載カメラを搭載した製品の開発では、最適なカメラ画像を得られるように、カメラの取り付け位置を決める必要があります。これまでの設計段階で3次元CADを使用して撮影範囲を確認する方法は、多大な時間がかかる割に精度が低く、周辺状況(撮像対象物)の変更や、魚眼レンズ等の様々なレンズ種類に的確に柔軟に対応することが困難なため、実際に車にカメラを取り付けてカメラ画像を確認するという、人手と時間のかかる作業を行っていました。
以上の状況と、車載用カメラ製品搭載の増大や、複数カメラを必要とする製品の多様化により、設計段階での精度良い画像確認の実現と、効率化が望まれていました。

技術課題

車載カメラでは広い視野を得るために魚眼レンズなどの広角なレンズを使用していますが、広角なレンズは画像の歪みが大きく、正確なカメラ画像を生成するためにはレンズによる画像歪みを再現する必要がありました。また、検討作業ではカメラ画像を確認しながらカメラ位置を調整できることが望まれるので、ユーザのカメラ移動操作にリアルタイムに追従できる高速なカメラ画像生成技術が必要でした。

開発した新技術

今回、歪みの大きいカメラ画像を高速に生成するために、以下の技術を開発しました。

  1. レンズ特性データに基づき任意の射影特性を再現するカメラ画像生成方法
  2. グラフィックスボードを使用した高速画像処理方法

以上の技術を3次元仮想試作システムVPSに組込み、VPSの豊富な設計検証機能を利用することにより、効率的に車載カメラの配置設計を行えるカメラ画像シミュレータを実現しました。

画像歪み生成

効果

  1. 現物がない設計段階で、カメラに映る範囲や周辺物の見え方(車両部品に隠れる部分や、人や車、道路の歪みなど)などの確認が可能となります。
  2. 実際の車に取付ける方法では対応困難な、正確なカメラ位置の設定ができます
    (例えば、下へ1度、右へ0.5mm変更した場合の画像確認)。
  3. レンズスペック(画角や屈折率)の変更、搭載車両変更、昼夜間の道路状況再現、など様々な条件設定を変更しての画像確認が可能となります。
    レンズスペック変更例
  4. 従来、実際の車に取付けて画像確認を行っていた作業を、パソコンで対応できるため、実験車の手配や部品の脱着が不要となり、設計段階の検討工数が、1/10に短縮できます。

今後

自社で開発する車載カメラ搭載製品に活用するほか、建屋・都市空間での監視・モニタリングシステムの設計など、富士通グループで広範囲の応用を検討していきます。

商標

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

注釈

注1 富士通テン株式会社:本社 兵庫県神戸市、代表取締役社長 勝丸 桂二郎
注2 株式会社富士通研究所:本社 神奈川県川崎市、代表取締役社長 富田 達夫
注3 VPS(Virtual Product Simulator):富士通研究所と富士通株式会社、デジタルプロセス株式会社、富士通アドバンストテクノロジ株式会社が共同で開発した、バーチャルなものづくりを支援する3次元仮想検証シミュレータ。
注4 業界初:2010年4月現在、富士通テン、富士通研究所調べ。機械系設計ツール業界(CAD/CAE)において、レンズ歪を再現したカメラ画像をシミュレーションし、3次元モデル上で実物と同じようにカメラ位置を調整できるシステムとして初。
注5 ディーラーオプション製品:自動車ディーラー(販売店)にて取り付けるオプション品。
注6 マルチアングル全周囲モニター:  富士通テンと富士通研究所が共同開発した、車両の周囲を立体的な俯瞰映像で確認できる周辺監視製品「マルチアングルビジョンTM」を元にトヨタ自動車と商品化したもの。

【関連リンク】

報道関係お問い合わせ先
コーポレートコミュニケーション部広報チーム
TEL:078-682-2170E-mail:pr@ten.fujitsu.com
富士通株式会社 広報IR室
TEL:03-6252-2174

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その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。