【NEWS RELEASE】

2002(平成14)年6月20日

演奏者が目の前に現れたようなリアルな音を再現する
車載用プレミアムオーディオシステムを開発

  富士通テン(株)(本社:神戸市 社長:槌本隆光 資本金:53億円)は、タイムドメイン(時間領域)理論に基づき、車室内であたかも演奏者が目の前に現れたかのような臨場感あふれるクリアでリアルな音が楽しめる、車載用のプレミアムオーディオシステムを開発いたしました。
本システムのプロトタイプを、2002年6月22日(土)、23日(日)に、千葉県「幕張メッセ」で開催される「モービルエレクトロニクスショー」(主催:モービルエレクトロニクスショー実行委員会)に出展いたします。

  タイムドメイン理論(*1)とは、従来のオーディオ理論で主流となっている周波数領域(Frequency Domain)に加え、時間領域(Time Domain)の再現性に着目した理論で、「音」(空気の振動)の発生から消滅までの時間的な過程(音の波形)を正しく再現することにより、限りなく原音に忠実な再生ができると考えたものです。
  当社は昨年、ホームオーディオ市場でこの理論に基づいたスピーカとパワーアンプをECLIPSE TDブランドで発売いたしましたが、今回、限られたスペース、各スピーカと座席との不均等な距離など、ホームとは異なる車室内環境に対応した製品を開発いたしました。

  今回開発したシステムは、丸型ボックスタイプのメインスピーカ(中高域)と、Mid-Loスピーカ(中低域)、サブウーファスピーカ(低域)の3way構成です。
  同理論を実現するには、様々な要因で発生する「再生音」以外の反射音や、スピーカの振動が車体に伝わり生じる音の濁りを無くす必要がありますが、ホーム用同様スピーカユニットとボックスが直接接触することを避けたフローティング構造に加え、車体への取付けにおいてもフローティング構造を採用いたしました。また、電気から音への変換効率を高めるためにスピーカユニットのマグネットの後ろにグランドアンカー(巨大錘)を設けていますが、サブウーファについてはグランドアンカーを用いると重量の増加が大きくなるため、2対のスピーカを背面でジョイントにより支え合う対向型サブウーファを開発いたしました。さらにスピーカと座席との距離差により発生する音の到達時間をデジタルプリアンプのタイムアライメント機能で補正することにより、ホームのように音像定位のはっきりしたクリアでリアルな音の再生を実現いたしました。

  当社では今後さらに改善を重ね、今年中に当社市販の最高級カーオーディオイクリプスECLIPSE サウンドSound モニターMonitorで販売を予定している他、米国をはじめグローバルに展開していく計画です。
  なお、スピーカ構造と取付けに関する特許を3件出願いたしました。
 

【今回開発したオーディオシステムの特長】
  不要な振動を抑えた構造と取付け付け方法の3way構成のスピーカシステム(メインBOXスピーカ(中高域)/Mid-Loスピーカ(中低域)/サブウーファスピーカ(低域))を車室内に配置し、各スピーカから受聴位置(座席)までの距離を時間補正することで、車室内でもホームのように音像定位のはっきりしたクリアでリアルな音の再生を実現しています。
 
1. フローティング構造
スピーカユニットとスピーカBOXが直接接触することを避けたフローティング構造を採用し、再生する「音」以外の不要な振動の発生をできる限り抑えています。
車体への取付けもフローティング構造を採用し、スピーカの振動が車体に伝わり生じる音の濁りを抑えています。

2. グランドアンカー(巨大錘)
フローティング構造により課題となる、電気から音への変換効率を高めています。

3. 対向型サブウーファ
サブウーファはグランドアンカーを設けると重量の増加が大きくなるため、2対のスピーカユニットの背面部分をジョイントで支え合う構造を採用し、グランドアンカーを使用した場合よりも軽量で過渡特性に優れた低音再生を実現しています。
4. タイムアライメント機能
各スピーカから座席(受聴位置)までの異なる距離により生じる音の到達時間のずれを、デジタルプリアンプのタイムアライメント機能で補正し、ホームとは異なる環境に対応しています。
システムブロック
 
 
 
【各スピーカの技術】

■メインBOXスピーカ

メインスピーカは、音像定位に影響が大きい300Hz以上をカバーする5cmBOXスピーカを採用しています。スピーカユニットとスピーカBOXが直接接触することを避けたフローティング構造に加え、取付けにおいてもフローティング構造を用い、スピーカBOXの振動が車体に伝わり生じる音の濁りを抑えています。また、グランドアンカーの採用により過渡特性を向上させています。
 

 
■Mid-Loスピーカ

直接車に埋め込むタイプのMid-Loスピーカは、スピーカユニットの振動を車体に伝えないようにするために、緩衝材を挟み金属部が直接触れない取りつけ構造をとっています。また、グランドアンカーの採用により過渡特性を向上させています。
 
 
 
 
 
 
 

 

       
 
 
 
 

 

■サブウーファスピーカ

過渡特性の向上のために採用しているグランドアンカーをウーファスピーカでも効果的に用いるためには、大型のグランドアンカーを使用する必要があり、重量増加が大きくなるため車載用としては現実的ではありません。そこで、スピーカユニットの背面部分をジョイントで支え合う構造を採用し、お互いのスピーカの反作用を打ち消し合うことで、グランドアンカーを使用した場合よりも軽量で過渡特性に優れた低音再生を可能にしました。また、スピーカユニットとスピーカBOXが直接接触しないフローティング構造を採用しています。
 
 
 

 

(*1)タイムドメイン理論      株式会社タイムドメインの由井啓之社長が提唱するオーディオ理論です。
 

【株式会社タイムドメインの概要】
1.社名  株式会社タイムドメイン 
2.所在地  奈良県生駒市高山町8916-12 高山サイエンスプラザ
3.資本金 3,800万円
4.代表者 代表取締役社長 由井啓之(よしい ひろゆき)
5.設立日 1997年9月
6.従業員数  8名
7.事業内容 音響機器製造販売、技術ライセンス供与
8.ホームページ  http://www.timedomain.co.jp/



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